正捕手が消えた。DeNA光山コーチが明かす「捕手3人体制」の真意 (2ページ目)

  • 高橋安幸●文 text by Takahashi Yasuyuki
  • photo by(C)YOKOHAMA DeNA BAYSTARS

 失策10、捕逸8はいずれも12球団の捕手でワーストだったものの、前年にプロ野球ワーストの68個に達したチームの暴投は39にまで減った。

 1年目からレギュラーで出場した新人捕手の存在が、DeNAバッテリーの質を好転させた、と言っても過言ではないだろう。ただ、ここで少し時間を巻き戻せば、2月のキャンプ中、ラミレス監督はマスコミに向けてこう発言していた。

「捕手に求めるのはワンバウンドのブロックと強肩。打撃力と高いIQ は求めない。捕手の負担を減らすため、捕手には配球を任せない。それはすべてベンチから指示を出し、捕手は配球を一切考えなくていい」

 捕手を指導し、育てる立場のバッテリーコーチとしては気がかりな発言だろう。ただ、この方針がチーム内でどう伝わっていたかは、定かではない。光山自身、スポーツ紙で見て初めて知ったそうで、直(じか)には聞いていなかったという。

 そもそも、ベンチから配球のサインを出すのは今に始まったことではない。どのチームでも経験の浅い捕手がマスクをかぶった場合は特に、頻繁にベンチを見る姿が見受けられる。そして実際、その年の練習試合、オープン戦において、DeNAはベンチから配球のサインを出していた。バッテリーコーチの考えはどうなのだろう。

「確かに、ベンチからサインを出すことはありました。特に2016年はそうでしたし、2017年もたまにあったんです。でも、僕はできるだけないようにしています。結局、ベンチからのサインで打たれることも、抑えることもあるんですけど、打たれたとき、キャッチャーに悔しさがないんですよ。タイムリーを打たれても淡々とベンチに帰ってきますから。自分の責任じゃないから、まあ、しゃあないですわね。逆に、抑えても喜ばない。それだと向上しないと思うので、できるだけないようにしています」

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