1億円プレーヤーが2年で月給20万円に。
GG佐藤のプロ野球マネー学

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News


──ある資料によると、佐藤さんはNPBの選手として、3億5250万円を稼いでいます。ユニフォームを脱ぐと、これほどの大金を稼ぐことはなかなかできないでしょう。

佐藤 プロ野球でお金を稼ぐのは大変でしたが、普通の社会では、倍々ゲームで年収が上がるような仕事はほとんどありません。コツコツ頑張って、それ相応のお給料をもらう形なので、どうしてもギャップはあります。

──プロ野球選手のセカンドキャリアが話題になりますが、苦労している人も多くいます。

佐藤 プロ野球選手は働いた分の成果を求める習慣がついているので、引退してからも大きな見返りを求めてしまうのかもしれません。そこが難しいところですね。

──佐藤さんの現在のお仕事は?

佐藤 トラバースという住宅の測量・地盤改良の会社に勤めていて、千葉営業所の所長をしています。実際に現場にも行きますし、営業もします。野球の仕事は、野球教室くらい。いわゆる普通の会社員、サラリーマンです。経営に興味があって、いずれはビジネスの世界で成功したいと考えています。

──サラリーマンになってみて苦労したことは?

佐藤 パソコンが難しいですね。それまではなんでもiPhoneでやっていたんで。

──プロ野球選手にとって、お金よりも大切なものは何ですか?

佐藤 お金よりも大切なもの? それは、お金で買えないものです。

──それは何でしょう?

佐藤 お金で買えないものは、すべてお金より大切だと思います。例えば、健康もそう、信頼も買えません。いくら高くても、お金さえあればたいていのものは手に入れることができますが、そういうのはあまり好きじゃない。いま、私は父親にもらった、21万キロも走ったトヨタのクラウンに乗っています。これまで親父と過ごした時間やストーリーが詰まっているから、この車には価値がある。だから、ビンテージものが好きなんです。何かしらのストーリーがないと、心が動きません。お金で買えないものは、本当に大事です。

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