名打撃コーチが思わず驚きの声を上げた「若侍2人」の打撃テクとは? (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Kyodo News

 そしてこの大会でもうひとり高い技術を見せたのが近藤健介(日本ハム)だ。インコースにきた球をギリギリまで引きつけて逆方向(レフト方向)に打って、二塁打にしたシーンがあったが、あの打ち方は簡単にできるものではない。さすがはシーズン途中まで4割を打っていた打者だ。日本ハムではもちろん、今後侍ジャパンでもクリーンアップを打てるだけの逸材だろう

 今回、侍ジャパンの4番を任された山川穂高(西武)については、調子のいいときはいいが、悪くなると徹底的に封じ込まれてしまう。ただ彼のよさは、あれだけ上体が前(投手寄り)に動いても、しっかりバットが出てくることだ。しかも遠回りせず、コンパクトに出てくるから速い球にも対応できる。とはいえ、まだ山川は今年ブレイクしたばかり。来年は厳しくマークされるだろうから、かなり苦労するだろう。そこをどう乗り越えていくのか。これからの山川には注目したい。

 初戦の韓国戦で延長10回に起死回生の同点ホームランを放った上林誠知(ソフトバンク)は、の一打よりも前の打席でのファウルが印象に残っている。それまでの上林は、初戦という緊張感からか、それとも疲れなのかわからないが、速い球にまったくタイミングが合っていなかった。第1打席から凡打を繰り返し、8回の打席でも空振り三振。

 ただこの打席で上林はライトにホームラン性のファウルを打った。私にはこのファウルで上林の感覚が蘇ったのではないかと思えた。それまで不調でも、たった1球のファウルで感覚が戻るというのはよくあることだ。上林にとっては、こういうことが起きるということを知っただけでも十分に収穫となったはずだ。

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