名打撃コーチが思わず驚きの声を上げた
「若侍2人」の打撃テクとは?

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Kyodo News

 ところが、次の台湾戦、決勝の韓国戦では別人のようなバッティングを披露した。なかでも印象に残っているのが、台湾戦の2回に左投手(林政賢)からライトスタンドに放ったホームランと、決勝の韓国戦で2番手投手(沈載敏)から放ったライトへのヒットだ。

 相手投手の真っすぐの球速は140キロ中盤から後半。打者として最も「打ち気にはやる球速」だ。並みの打者なら引っ張りたくなるものだが、外崎はそんな誘惑に負けず、しっかりライト方面に弾き返していた。

 外崎の技術の高さは「アウトサイドの球を引っ張り込んで叩き、打球はレフトではなくライト方向に弾く」という言葉に集約されている。コースに逆らわず、しかもしっかり振り切れているため、強い打球がいくのだ。

 外崎にとっては、こうした打撃を国際大会でできたことが大きい。なじみのない相手投手の球種や特徴がわかりづらく、芯でボールをとらえることは難しい。また、国際大会では相手バッテリーも打者から遠いボール、つまりアウトコース中心の配球になることが多い。そのような条件のなかで、無理なく逆方向に打てる打者はベンチとしても使い勝手がよく、心強い。彼を見たとき、「こんなええ打者がおったんか」というのが、率直な印象だ。西武はもちろん、侍ジャパンにとっても頼もしい選手であることは間違いない。

 打者には性格、技術も含めて、いろいろなタイプがいるが、国際大会ではあまり考えすぎず「真っすぐ待ちの変化球対応」という打者の方が結果を出しているような気がしている。言い換えれば、ヤマを張らなければ変化球は打てないという打者は、はっきり言って国際大会に向かない。これまでそういう打者はほとんど日本代表に選ばれなかったし、これからもそうだろう。

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