五十嵐亮太が「53」に秘める思い。「俺はゴミじゃない」からの20年 (2ページ目)

  • 山岡則夫●文 text by Yamaoka Norio
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 2017年の五十嵐は決して順調ではなかった。左太ももの肉離れを起こし、夏場に約2カ月近く戦線を離脱した。復帰後も完調にはほど遠く、精彩を欠いた。チームは2年ぶりの日本一を果たしたが、五十嵐自身、決して満足のいくシーズンではなかった。

「優勝させてもらった。いい思いをさせてもらったというのが率直な感じ。一軍で投げさせてもらっているのに、こんなんじゃダメでしょ。結果も残せていないし、内容も満足できなかった。ウチにはいい投手がたくさんいるから、このままじゃね......」

 五十嵐が秋季キャンプに参加したのは、シーズン4位に終わり全員参加となった2013年以来で、今回は自ら志願しての参加である。悲壮感がヒシヒシと伝わってくる。

 このオフには2年契約が終了し、FA権再取得による自身の進路を選択できる状況もあった。しかし、五十嵐は迷うことなく残留を選んだ。

「今回のFAは自動更新だったから、言われているほど気にしなかった。というか、まったくといっていいかもね。自然の流れでホークスに残留するものだと思っていた。それよりも来年以降を考え、どうすればいい投球ができるか......そればかり考えている」

 すでに"大ベテラン"と呼ばれる年齢にさしかかっている。ソフトバンクでは松坂大輔が戦力外になり、他球団の同世代の選手も厳しい現実を突きつけられている。自身の着地点(現役引退)が視野に入っていても不思議ではない。

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