さらば、ヤ戦病院。石井コーチの「悪魔の囁き」でヤクルト戦士を改造中 (4ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by HISATO

 野口寿浩バッテリーコーチにも、このキャンプを振り返ってもらった。

「練習量が増えても、みんなよく走っていますし、しっかりバットを振り続けましたよね。確実に強い打球が増えました。心の部分もそうですし、体力の面でも底上げのきっかけになったと思います。この秋に蓄えた体力を、来年2月のキャンプまでにゼロにしてしまうのか、それとも維持しているのか。オフの2カ月がすごく大事ですよね」

 石井コーチも同じことを話していた。

「この最終クールで、選手たちには(オフになる)121日に向けて、自分の課題を見つけることをしつこく話しました。今回のキャンプは与えられた練習をただやるのではなく、"考え、感じ、覚えていった"と思っています。個人練習となるこれからの2カ月で、どうチョイスしてアレンジできるのか。そのための引き出しは与えたと思っています。このキャンプで『やりきった』と "自己満足"してほしくないですね。ここでやったことを試合でどう生かすのか。やっぱり、この世界は結果がすべてですから」

 もちろん、選手たちにもその考えは浸透している。

「今までもオフにはウエイトをやってきましたけど、さらに力を入れて、よりパワーアップして2月のキャンプを迎えたいと思っています」(山田哲人)

「松山でキャンプをしたメンバー、戸田で練習していたメンバー、リハビリから戻ってくるメンバー......みんなひとつになってやりたい。シーズン96敗の悔しさを忘れずに、新しいシーズンに挑みたいですね」(中村悠平)

 新たなコーチ陣たちとともに"再起"をかけてスタートした新生ヤクルト。はたして、96敗の屈辱を晴らすことはできるのか。来年2月のキャンプが待ち遠しくて仕方ない。

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