さらば、ヤ戦病院。石井コーチの「悪魔の囁き」でヤクルト戦士を改造中 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by HISATO

 ヤクルト秋季キャンプのハイライトとなっていたのが、午後に行なわれる約260球のロングティーだ。それが終わると、100×2セットの連続ティーが待っていた。ロングティーを終え、体力の回復を待っていた古賀雄大(捕手/1年目)の"連ティー"がスタート。

「古賀、頑張れ! 声を出せ、しっかりしろ! バットを振るんだ、古賀!」

 奥村展征が中心となり、ほかの選手やコーチたちも古賀に声援を送り続ける。

「古賀、声を出せ! いや、もう声は出さなくていいぞ! もう少しだぞ、古賀!」

 最後の1球が外野に弾き返されると、練習を見学していたファンからも拍手が起きた。

「今日1日、応援ありがとうございました!」

 奥村は直立したまま観客席に向かって声を張り上げ、古賀は深々と頭を下げた。その後、チーム全員で外野を埋め尽くしたボールを片付け、ようやく長い1日が終わった。このキャンプで先頭に立ってチームを引っ張っていた中村悠平に声をかけた。

―― 厳しい練習が終わりました。今はどんな気持ちですか?

「今日も1日、悔いなくしっかりやれたかなという充実感に満ち溢れています。全体練習ではみんなが同じ意識を持って、個人練習では自分の課題にしっかり向き合い、今日もひとつひとつ積み重ねることができました」

―― 練習を見ていて印象に残ったのは、選手たちが励まし合っている光景でした。

「練習は本当に厳しいですが、そこで『きついな、つらいな』と思ってしまうと成長はありませんし、モチベーションも保ちづらくなる。厳しい練習をみんなで乗り越えて、おふざけじゃない楽しさで練習するというのは、すごく大切なことだと思います。このキャンプは『みんなで切磋琢磨してやっていこう』という目的がありました。キャンプが始まった頃は、どんな雰囲気で、どんな感じになるのか......と探りながらの部分もありましたが、みんな体力的にも精神的にもフラフラのなかで、しっかりやれていると感じています」

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