不祥事からのトライアウト。奥浪鏡、「もう一度、野球で」と願う4打席 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

「久しぶりの実戦でしたが、ボールの速さは大丈夫だったんですけど、ピッチャーとのタイミングというところで実戦不足はあったかなと思います。練習でシートバッティングとかもやっていたんですけど、(投げる)ボールも全然違いますし。トライアウトでユニフォームを着させてくださったオリックスや、ここまで支えてくれた家族のためにも結果を残したいと思っていたんですけど......」

 176センチ、100キロの愛嬌ある容姿と、人懐っこい語り口は以前のままだった。しかし、創志学園時代、オリックスでの現役時代に話をしていたときの印象からすれば、いかにも神妙な雰囲気が奥浪の"今"を物語っていた。

 今年5月、奥浪は速度超過で1カ月の運転免許停止処分を受けた。ところが、その期間中に大阪市内にある寮の近くで車を運転し、オートバイと接触。事が明るみに出た。免許停止の報告を球団に怠っていたなかでの事故。この事態を重くみたオリックスは、無期限の謹慎処分を課した。以降、奥浪は練習にも参加できず、外出も基本的には禁止。寮長監視のもと奉仕活動に務めたが、8月に球団から契約解除が発表された。

「球団本部長の長村(裕之)さんといろいろ話をさせてもらっているなかで、そういう話(契約解除)をさせてもらいました。練習もせず、復帰の見込みもないまま、オリックスにいさせてもらうより、少しでも希望が持てるトライアウトに参加したいと」

 謹慎中、球団から来季の契約の意思がないことは奥浪に伝えられていた。悶々(もんもん)とした日々のなかで、「もう一度、野球で勝負がしたい」という自らの思いを確認し、契約解除という決断を下した。

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