「ムラタはどうしてる?」イタリアで遭遇した、元横浜の助っ人も心配 (3ページ目)

  • 阿佐智●文・写真 text&photo by Asa Satoshi

 日本でプレーした経験のある外国人選手のほとんどは、それを良き時代ととらえ、様々な思い出を語ってくれるのだが、カスティーヨにとっての"日本"は、長いキャリアのほんのワンシーンに過ぎない。

「日本の思い出? いろんなところでプレーしてきたこともあって、あまり覚えてないんだよね。そうそう、ムラタっていう選手はどうしてる? 彼のことはよく覚えているよ」

 はからずも、元チームメイトで同い年のベテラン・村田修一の名前が飛び出した。今季はまだ現役でプレーしていたし、来季も現役を続けるだろうと答えると、嬉しそうにうんうんと頷いた。

 カスティーヨのように、プレーできる場所があればどこへでも行くという選手もいれば、これまでの経験を伝えようと、母国に帰ってプレーを続けている者もいる。

 オランダ・ロッテルダム。今や欧州一の強豪といっていいキュラソー・ネプチューンズの本拠地、ファミリー・スタディオンは、この国で一番の野球場だ。中央駅から路面電車に乗り10分ほど。いかにもオランダという街並みを離れ、モスクが立ち並ぶムスリム地区を抜けると球場にたどり着く。

 グラウンドでプレーする選手や観客のほとんどはカリビアンだ。数カ月前にオランダにやって来たというドミニカの選手と地元の観客の英語での会話を聞きながら試合を眺めていると、突然、日本語のあいさつが聞こえてきた。

 声の主は、ルーク・ファンミル。2014年に1シーズンだけ楽天でプレーした投手だ。日本では7試合だけの登板で、0勝1敗という成績に終わったが、日本プロ野球史上最長身となる216センチの上背を生かした最速152キロの速球が印象に残る投手だった。また、オランダ本土出身としては初の日本プロ野球選手としても話題になった。

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