栗山監督が描く大谷翔平のメジャー。「DHがなくても二刀流はできる」 (6ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

―― でも、そういう人を見つけ出すのが難しいですよね。みんな、今の段階では「どうぞどうぞ、二刀流やってください」と言いますからね。そこを信じ切っていた野球人は、日本にもほとんどいなかったわけだし......。

栗山 いや、でもアメリカにもそこを信じ切れる野球人は必ずいると、いるはずだと信じてるよ。信じたいよね。だって、投げて、打って、走って、守って......そんなの、野球人の夢でしょ。

―― では、先入観たっぷりにお訊きしますが、ピッチャーとして中4日のローテーションに入っても、守りながら野手として出場するのは可能ですか。

栗山 あのね、オレは、二刀流は大谷翔平にとっての武器ではなくて、必須条件だと思っているのね。翔平を生かすためには、二刀流じゃなきゃ、逆にダメなの。それからもうひとつ、翔平の二刀流はチームのほうにとってみれば、武器なわけ。勝つために二刀流が必要になる。そう考えたら、必ずしも中4日で投げる必要はないよね。トータルでチームを勝たせるために翔平の登板間隔を開けながら、どうやってバッターとして貢献してもらうかを考える。メジャーのなかでこれがいいというパターンは必ずあるはずだから......。

―― 監督は、バッターとしての大谷選手を、チームを勝たせるための絶対的な武器だと位置づけてきましたよね。

栗山 正直、ああいうピッチャーは出てくるかもしれないけど、あんなバッターはもう出てこないと思っているからね。翔平の中に、イチロー選手と松井秀喜選手が両方いる感じ。普通に振るだけでとんでもない飛距離があって、強く振ってもバットコントロールができる。あとは考え方ね。一度、やられたあとの対処の仕方......そういうバッターとしてのとんでもない能力を考えたら、ピッチャーとして中4日で投げる必要はないでしょ。あれだけ腕が振れちゃえば、その分、体への負担も大きくなるわけだし。

―― でもメジャーは二刀流OKと言いながら、本音はピッチャーとして欲しがってますよね。

栗山 だから、そこが先入観だって言うんだよ。そもそも、『先入観は可能を不可能にする』って、誰が言ったんだっけ(笑)。

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