なぜここに? ロッテ清田、井上が
フェニックスリーグに参加した心情

  • 阿佐智●文・写真 text&photo by Asa Satoshi

 ただ、ベテラン選手にとって怖いのがケガだ。来年の春季キャンプまで時間があるので多少は無理できるという声もあるが、決して良好とはいえない環境の中、技量に劣る選手との対戦でケガでもしたら元も子もない。

この日、清田は2打数2安打と気を吐いたが、3打席目で頭部に死球を受けた。幸い、ピッチャーが投じた球がすっぽ抜けのカーブだったこともあり大事にはいたらなかったが、清田は投手をにらみつけ、捕手に怒りをぶちまけた。それに反応した捕手がファーストへ向かう清田を追いかけようとするなど、フェニックスリーグらしからぬ不穏な空気が流れるなか、それだけ清田の本気度も伝わってきた。

 清田だけではない。右の長距離砲として期待されながら、なかなか結果を残せずにいる井上晴哉(28歳)もフェニックスリーグに参加していた。

 昨年の開幕戦にはキャンプで同じファーストのポジションでノックを受けていた井口資仁(現監督)を差し置いてスタメンに名を連ねたが、一軍に定着することはできなかった。そして今シーズンも大半をファームで過ごしている。

「とにかく内角の球をしっかりさばけるように取り組んでいます」

 井上はしっかりテーマを持って、フェニックスリーグに臨んでいた。たしかに、結果が求められるシーズンと違い、ここでは打てる球をあえて見逃し、自身が課題とするコースや球種にチャレンジすることも可能だろう。

 この日、サムスンのリリーフ陣が総崩れとなるなど、投手のレベルは日本の一軍クラスよりは格段に落ちる。

「ここで打てないということは、上(一軍)では絶対に打てないということですから」(井上)

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