ドラフトで本指名6人。独立リーグ→プロ野球を急増させた「直接対決」 (3ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by ISHIKAWA MILLION STARS

 この交流戦の効果を最も実感しているのがBFL(ベースボール・ファースト・リーグ)だろう。前身である関西独立リーグのゴタゴタを引きずっていたこともあり、「プロリーグ」を名乗りながら選手に報酬も支払えない状況で、チーム数もわずか3つしかない。正直、このリーグで残した成績がスカウトの参考になることはない。

 だが、今年のドラフトで兵庫ブルーサンダースの田中耀飛が楽天から5位指名を受けた。リーグ戦で15本塁打を放ち、三冠王を獲得するなど、圧倒的な数字を残したが、スカウトの目に留まったのは9月に行なわれた楽天との交流戦。ここで田中は2試合連続本塁打を放ったのだ。

 BFLは、四国ILとBCリーグで結成した日本独立リーグ野球機構に加盟していない。そのため両リーグに認められている社会人や大学と試合ができない "孤立状態"が続いており、NPBとの交流戦は数少ないアピールの場だ。関西を拠点とするBFLは、今季も3回にわたり選抜チームを仙台にまで派遣して交流戦を行なった。田中の指名については、これが功を奏したかたちとなった。

 交流戦の効果もあり、少なくともレギュラークラスに関しては独立リーグのレベルは確実に上がっている。草創期の独立リーグを知るロッテの山森雅文スカウトは次のように語る。

「リーグが発足した当時は、速い球は投げるけど、どこにいくかわからないという選手が多かったですね。でも今は、速いだけでなく、まとまりもあります」

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