優勝メンバーに育成出身が4人。ソフトバンク、恐るべき弱肉強食の掟 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News

 また、一昨年まで4年連続開幕投手の攝津正は、日本シリーズ第4戦に3点ビハインドの8回に登板し3失点。同じ試合で攝津の前に登板し、かつて"勝利の方程式"の一端を担った五十嵐亮太も高城俊人に手痛い一発を浴びた。

 それだけではない。シリーズ中にはかつて主戦投手のひとりとして活躍した大隣憲司や、昨年、今年とウエスタンリーグ最多勝の山田大樹らが来季の構想外であることが報じられた。

 一瞬でも気を抜けば誰かに取って代わられる、まさに"サバイバル"。こうしたチームづくりは、時として選手の意欲を削いでしまうリスクもはらむ。しかし、現状のソフトバンクから伝わってくるのはマイナスよりもプラス面。弱肉強食の戦いの中にも徹底した実力主義と透明性が確保されているからだろう。

 その象徴としてチームの空気をつくっているのが、育成出身の選手たちの活躍だ。彼らが一軍の舞台で結果を出している姿を見れば、誰も不満を口にするわけにはいかない。

 ポストシーズンが進む傍(かたわ)ら、宮崎ではフェニックスリーグが行なわれていた。そこには真砂勇介、釜元豪(育成出身)、茶谷健太、黒瀬健太、笠原大芽、古谷優人、野澤佑斗(育成出身)ら、スケールのある好素材の選手たちが、虎視眈々とそのときを狙っているかのように汗を流していた。

 永山チーフスカウトは「チームが強くなるには時間がかかり、弱くなるのは一瞬」と言った。だが、チーム強化のための環境、システム、そして選手たちの意欲が揃うソフトバンク。現状からチームの停滞を想像することは難しい。連続日本一に向け、もう戦いは始まっている。

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