優勝メンバーに育成出身が4人。ソフトバンク、恐るべき弱肉強食の掟 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News

 現在、プロ野球で三軍制を導入しているのは、ソフトバンクのほかに広島と巨人があるが、広島は故障者のリハビリの場という色合いが強く、巨人も本格的に試合を行なうようになったのはまだ昨年から。

 育成環境の充実が選手の成長をうながし、チーム内の競争をより激しくする。下からの突き上げが一軍の選手たちに刺激を与えていることは言うまでもない。クライマックスシリーズ(CS)から日本シリーズと続いた戦いを見ても、生き残りをかけたアピールの場と思えるほどの空気感が伝わってきた。

 たとえば、CSではシーズンわずか2試合のみの出場だった城所龍磨が楽天のエース・則本昂大から2本の二塁打とファインプレーで大きな勝利を呼び込み、日本シリーズ第1戦ではシーズン23試合の出場にとどまった選手会長の長谷川勇也が試合の流れを決める2ランを放った。

 第2戦では、2点ビハインドの7回に代打で登場した明石健志の二塁打から試合が動き、逆転に成功。実績のあるベテランが起用された場面できっちり"仕事"をこなすシーンが目についた。

 その一方で、悔しい思いをした選手たちも少なくない。今シーズン初めて規定打席に到達した上林は、楽天とのCSファイナルステージの第1戦、第2戦にスタメン出場するもノーヒット。その後スタメンを外れ、日本シリーズでも代打で1試合出場するにとどまった。日本シリーズ第2戦でスタメン起用された江川智晃も2打席2三振と結果を残せずに途中交代。その後は出番なく終わっている。

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