優勝メンバーに育成出身が4人。ソフトバンク、恐るべき弱肉強食の掟 (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News

 その石川だが、入団してから2年間は肩やヒジの故障が続き、三軍でリハビリ優先のメニューをこなした。3年目からウエスタンリーグで登板。そこで好投を重ね、昨年7月に支配下登録された。甲斐は、ウエスタンリーグと三軍の試合で実戦経験を重ね、2013年オフに支配下登録。今年は80試合で先発マスクを被るなど急成長を遂げ、日本シリーズでも1、2、6戦にスタメン出場した。

 永山勝チーフスカウトが彼らの入団当時を振り返る。

「石川は大学(創価大)の1年先輩に小川(泰弘/ヤクルト)がいて、最終学年までそれほど目立つ存在ではありませんでした。ただ、制球はアバウトでもボールに力があったので、『実戦経験を積んでいけば......』という見方でした。甲斐はとにかく肩が素晴らしかった。プロの選手と見比べても十分なものがあり、もう少し身長(170センチ)があればもっと注目されてもおかしくない選手でした」

 千賀は近年の活躍で広く知られるようになったが、愛知県にあるスポーツ用品店のスタッフから情報を受け、ドラフト前にソフトバンクのスカウト陣が視察に訪れた。そこで見た力強いストレートと投げっぷりのよさに指名を決めた。

「ひょっとして2、3年後に化けるかも......」という選手を獲得できる資金力と育成環境。その中に2011年から活動しているソフトバンクの三軍の存在が大きく関わってくる。

「試合を経験させることが必要な選手と、体づくりに専念させることが必要な選手がいます。その選手が早く力をつけるにはどちらがいいのか。選手個々に合った育成方針を見極めて、スカウトや現場も意見を共有しながら、しっかり三軍を活用してやっています。上林(誠知)や武田(翔太)も三軍を経て、上がっていった選手たちです」(永山チーフスカウト)

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