筒香と山﨑。DeNAの「ボスキャラ」登場で史上最大の下剋上なるか (2ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Kyodo News

 つまりペナント終盤のAクラス争いやCSといった厳しい戦いを経て選手たちは成長し、ワンランクアップしたチームになりつつあるということなのだろう。ただ、そのムードも筒香が築き上げたものであることは間違いない。5番打者として筒香の後ろを打ち、この試合でも適時打を放った宮﨑敏郎は次のように証言する。

「ゴウ(筒香)は若いのに凄いですよ。頭がいいし、引っ張る力がある。よく周りを見ているというか、みんなを引き立てつつリードしてくれる。みんなが同じ方向を向くように、空気を変える力があるんです」

 こんな誰からも信頼されているリーダーが打てば、当然チームは波に乗る。

 そして守護神の山﨑もまた、筒香からのアドバイスにより能力を向上させた選手のひとりである。今シーズンは春先にクローザーを外されるなど悔しい思いをしたが「しっかりと意図をったピッチングをすればいいんだよ」と筒香に諭され、再びクローザーに返り咲くことができた。

 ラミレス監督からは「最後までクローザーからは外さない」と言われ、あらためて強い信頼を勝ち取ったわけだが、この第5戦ではそれが顕著な形で現れる。

 山﨑は、レギュラーシーズンでは経験したことのない8回からの登板を言い渡された。当然、最終回へかけてのイニングまたぎは必至である。二死一、二塁の場面でパットンに代わり、マウンドに上がった。打者は柳田悠岐だ。

 ラミレス監督は「試合前から投手の使い方は準備し、プランを立てていた。スペシャルなゲームだし、負けたら明日はない。そういうことも踏まえ、イニングまたぎを準備していた」と言うが、山﨑本人には試合前に伝えていなかった。

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