ドラフト1位の苦悩。期待の大型内野手が「打ち方を忘れた」状態とは (4ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

──でも、いくら守備がうまくても、打てなければレギュラーはつかめません。

渡辺 完全にイップスでしたね。自分のバッティングの型がなくなって、どうやって打っていいのかわからなくなりました。僕はバッティング理論が確立できていなくて、自分ではわかっているつもりでも、あくまで感覚で打っていたんでしょう。「前はこんな感じで打っていたはず」というところに戻ろうとしたのですが、結局無理でした。むしろ、新しくつくったほうがよかったかもしれません。感覚が激しくずれているので、練習すればするほど悪い癖がつきました。

──プロ野球で15年間プレーして、通算140本の安打を放っていますが、会心の当たりはありましたか?

渡辺 プロで満足できる打球は全然ありません。いや、1本くらいあったかな? あるには、ありますね、2本くらい。

──バッティングで迷い続けた渡辺さんは、プロで生き残るために何をしましたか?

渡辺 守備の練習に打ち込みました。当時、マリーンズで小坂誠さん(現読売ジャイアンツコーチ)、酒井忠晴さん(現楽天イーグルスコーチ)が二遊間を守っていたので、参考にさせてもらいました。

──コーチにはどんな指導を受けましたか?

渡辺 僕には守備の師匠が3人います。ひとりはレン・サカタさん。マリーンズの監督を務めたボビー・バレンタインさんとともに日本にやってきた人。レンさんは、メジャーリーグでの経験があるので、メジャー流の守備を教えてくれました。

 プロとしての基礎の基礎、プロとして生きていくための土台をつくってくれたのは藤倉一雅さん(現白?大学野球部総監督)。そして、高代延博さん(現阪神タイガースコーチ)がそれを一軍用にコーティングしてくれて、バージョンアップできました。3人とも言うことは違っていましたが、それぞれの教えがすっと入ってきました。

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