ドラフト1位の引き際。あの豪腕投手は、
なぜ27歳で引退を決めたのか

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News


――引退から2年経ちました。いまはどんな活動をしていますか?

増渕 僕は高卒で、プロ野球での実績もたいしたことはありませんが、プロで人間力を磨き、人脈以外にもさまざまな財産をいただきました。自分で会社をつくったのは、今後プロ野球から引退する選手のセカンドキャリアの支援をできればと考えたから。僕はみなさんからいただいたものを誰かのために役立てたい。

 プロ野球は、毎年100人がクビになり、100人の新人が入団してくる世界です。プロの世界に飛び込むときには当然、不安もあるでしょう。プロを終わったあとでも「こういう生き方があるんだ」というものを示していきたい。次につながるセカンドキャリアを築いていけたらと考えています。

――引退後に自らの会社『King Effect』を立ち上げ、2017年4月、埼玉県上尾市に野球スクールを開校しました。

増渕 やっぱり、野球が好きなんですよね。プロ野球でいろいろなことを経験させてもらったので、プロ野球選手を目指す子どもたちに教えたいと考えるようになりました。野球人口が減っていると言われているいまだから、なおさらです。野球スクールでは小学生から中学生まで教えています。毎日がすごく充実しています。子どもたちに野球を教えることは簡単ではありませんが、僕は野球をもっともっと好きになってほしいと思っています。楽しく、野球に取り組んでほしい。

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