名打撃コーチもたまげた、広島カープ「ワンランク上の選球眼」とは? (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Kyodo News

 そうした姿勢が田中広輔、菊池涼介、丸佳浩の上位から、鈴木誠也、松山竜平らの中軸まで、全員に浸透している。表現を変えれば、広島の打者は「自分の打てる球を知っている」ということだ。

 当たり前のことのようだが、実はほかのチームの選手でもこれを自覚しているはほんのひと握りに過ぎない。ましてチームとして徹底しているのは、12球団を見渡しても広島だけと言える。相手にしてみれば、これほど嫌な打線はない。

 シーズン中、石井琢朗バッティングコーチにこのことについて聞いたことがあったが、決して徹底させているわけではないと言っていた。それが本当だとすれば、もはやコーチが口を酸っぱくして言う段階ではなく、選手自らの意思でやっているということなのだろう。それでいてあの体全体を使って振り切る力強いスイング。強いはずだ。

 事実、丸は「つなぎの打線が身上だが、自分たちは打てる球の選球眼を大事にしている」と語っている。では、そんな広島打線を封じ込める方法はあるのだろうか?

 こうした広島打線に対して、かわす投球は通用しない。力でねじ伏せていくしか方法はない。巨人の菅野智之のように、140キロ台中盤から後半のストレートで攻めて、スライダーで打ち取る。そうした正攻法が最も効果的ということだ。

 とにかく、広島打線にごまかしは効かない。そのなかでも要注意打者をひとり挙げるとすれば2番打者の菊池になるだろう。特に1番の田中が出塁すると、菊池は実にうまくライトに打つ。投手にとってプレッシャーのかかるランナー1、3塁の状況をつくられ、クリーンアップを迎えてしまう。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る