寺島成輝、5失点デビューも「大体の感じはわかりました」と来季に自信 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News

 昨年夏の時点で、寺島はストレートの速さ、キレ、変化球の精度、制球力など、ハイレベルな投手だったことは間違いないが、それぞれを5段階で評価すると「オール4」の印象があった。

 たとえば、高校時代の田中将大や松井裕樹のスライダーや、菊池雄星や藤浪晋太郎のストレートは突出しており、間違いなく「5」だった。だが寺島にはそうした「5」のボールがなかった。

「大型左腕なのに荒々しさがないのがいい」

 これはロッテの永野吉成チーフスカウトが当時語っていた寺島評だが、端的に特徴を表した言葉として今も耳に残っている。

 その一方で、しっかり結果を出す無類の安定感は文句なしの「5」だった。高校時代、公式戦で崩れたのは2年秋の大阪大会3回戦のみ(対大冠戦、延長10回を投げて被安打15、失点7)。ただ、プロで主戦として活躍するには、胸を張って勝負できる「5」のボールがほしい。そこは本人も課題になることがわかっていた。だからこそ、数字や目標を聞かれるたびにこう返してきた。

「まずはマウンドに立ってみてから。そこでどう感じるかです」

 すべては一軍のマウンドに上がってからということだった。だが、そのマウンドに立つまで、思いのほか時間がかかった。

 キャンプは一軍スタートだったが、ブルペン入り直後に内転筋を痛めた。4月にファームで初登板を果たしたが、今度は左ヒジの違和感でしばらく大事をとった。結局、イースタンリーグでは6試合、19イニングを投げただけにとどまった。もし2度の頓挫がなければ、もっと早く一軍のマウンドに上がっていただろう。

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