真中監督が思いを激白「小川泰弘の抑え。あれが最後の勝負手だった」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

―― 優勝が近づいた頃のチームの雰囲気は素晴らしかったです。

「シーズン終盤は『オレたちはチャレンジャーなんだ。いつも通りの野球をしよう』と繰り返しました。個人の能力には限界があり、それ以上の成績を出そうとすれば力んだりして、いい結果になりません。そうしたなかで石川が中4日のローテーションで投げてくれたり、中継ぎ陣の多くが60試合以上に登板してくれたり、本当に頑張ってくれました。残り3試合ぐらいで決まった優勝でしたからね。監督としても厳しい局面が多かったのですが、僕がベンチで動揺すれば選手たちに伝わってしまいます。だから、気持ちはソワソワしていても、気づかれないようにベンチでは平然を装っていました(笑)」

―― 2年目のスローガンは"つばめ進化"。キャンプでは「まだ優勝イメージはない。とにかく終盤まで上位に食らいつけば、そこから先が見えてくる」と言ていました。

「選手たちに油断はなかったと思います。それに、周囲はそういう目で見てくるから『今まで以上に気を引き締めよう』という話はしていました。でも、前年に力を出し切ったことでの疲労の蓄積や、優勝した達成感もあったのかもしれません。いろいろなところにしわ寄せがきて、シーズンに入ってしまったのかなと感じていました」

―― 夏には故障者が続出。山田選手まで死球の影響で登録抹消されてしまいました。

「正直、今年のような感じですよね。でも選手たちは『この戦力では勝てない』と、諦めたりせず、粘り強く戦ってくれました。若手がチャンスを生かし、ベテランも意地を見せてくれた。5位という結果でしたが、あの苦しいチーム状況のなかでシーズン途中までは上位に食らいつけた。監督として自信になりましたし、それが今シーズンにかける決意にもつながりました」

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