巨人待望の打てる捕手、宇佐見真吾は「スイングで投手を威圧したい」 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 当時、宇佐見は初々しくそう語っていた。

「高山が目の前でティーバッティングをやっていたんですが、ヘッドスピードがすごかった。背中がこんなふうに、きれいにクルッ、クルッと」

 まるで少年がプロ野球選手を見るような眼差しで、嬉しそうに言う。だが、そんなすごいヤツらに囲まれても、「オレはやってやるぞ!」という、宇佐見の生命力の強さは感じられた。

 2015年、宇佐見は夏季ユニバーシアードの日本代表に選出され、金メダル獲得に貢献。同年秋のドラフトで巨人から4位指名を受けた。

 プロ1年目はファームで1本も本塁打が打てず、イースタンリーグでの出場機会も、先発の鬼屋敷正人、河野元貴と分け合っていた。

 そして勝負の2年目、"開花の予感"に気づいた。それは今季、開幕してすぐの頃だったか、「宇佐見真吾、右有鉤骨骨折で離脱」という記事を目にしたときだ。

 有鉤骨(ゆうこうこつ)とは手のひらにある骨で、この箇所を骨折する選手は、スイングが速くてインパクトが強烈なあまり、その衝撃的に耐えられずに損傷するケースがほとんどだ。だからこの記事を見たときに、宇佐見の成長を感じとった。

 それだけに8月19日にプロ入り初、しかも劇的なサヨナラ弾を放ったときは、正直、「ついにこのときが来たか......」と妙に納得したものだ。

 DeNAの左腕・砂田毅樹の外角のスライダーをとらえたスイングは、体が開くことなく、しっかりと叩いた立派な一撃だった。

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