どん底ヤクルトにも希望はある。
ツバメの卵がようやく孵化し始めた

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 山崎は4月12日に今季初めて一軍昇格を果たしたが結果を残せず、23日に二軍降格。今回の再昇格までに3カ月の時間を要した。山崎が振り返る。

「ファームに戻ってからの1カ月は『今までやってきたことは何だったんだろう......』と落ち込んで、何も考えることができませんでした。そのなかで、松元(ユウイチ)コーチや北川(博敏)コーチと話し合い、そこから自分のスタイルを確立できそうな手応えを感じることができました」

 山崎はイースタンリーグで打率1位、盗塁1位の結果を残して再昇格。「あの3カ月が今の打席につながっています」と山崎は言う。松元コーチ、北川コーチとの会話はどんなものだったのか。松元コーチに話を聞いた。

「山崎は足を生かさないと、打者としての特長が生きません。だから、強い打球ではなく、強いゴロを打つように、しつこ言いました。試合になれば『きれいなヒットを打ちたい』という気持ちはわかります。でも、チームとしては足を生かしたバッティングをしてほしい。きれいな打球を打ったところで、結果が出なければ生き残れない世界です。内野安打でもヒットはヒット。自由に打たすことはなかったですね(笑)。

 逆に、奥村は山崎ほどスピードがないので、『バットを振り切ることが大事。強いライナーを打とう』と、しつこく言いました(笑)。もともと彼は、走り打ちをする傾向があったので、しっかり振り抜いてから走るように言いました。ふたりとも練習のときから常に考えてやっていたので、それが自分のためになりましたよね」

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