どん底ヤクルトにも希望はある。ツバメの卵がようやく孵化し始めた (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 プロ4年目ながら29歳の藤井は、捕手登録ながらほとんど三塁手として試合に出場。ダイナミックな守備でチームの窮地を何度も救ってきた。

 奥村は2013年のドラフトで巨人から4位指名を受けプロ入り。2年目にFAで巨人に入団した相川亮二の人的補償としてヤクルトに移籍。エラーをしても次の打席で取り返そうとする必死さと、積極的なプレーでチームに活気をもたらしている。前出の飯原に、二軍で一緒にプレーしていたときの奥村の印象を聞くと、こんな答えが返ってきた。

「元気がいちばんありました。どんな点差であれ、集中して一生懸命でガッツもある。みんながそうあってほしいと思わせる選手です」

 奥村自身は、一軍での経験を重ねるごとに成長を感じとっている。

「試合に出ることで吸収することは多いです。『昨、こんなプレーがあったから、今日はこうしよう』とか。ミスをしてもそれが経験となり、次に同じようなプレーになったときに、頭のなかで整理してできると思います。今は自分ができることをしっかりとやるだけです。結果を出すことに加えて『(監督が)奥村はこういう選手だったんだ。使ってみたいな』という気持ちになるようなプレーをしていきたいです」

 今シーズンのヤクルトは、主力選手に故障離脱が続いたことで、多くの若手にチャンスが訪れた。藤井、奥村、山崎のほかにも、谷内亮太(5年目/26歳)、西浦直亨(4年目/26歳)、廣岡大志(2年目/20歳)たちがそうだ。しかし、存在感を見せつけてくれる選手は、残念ながら出てこなかった。三木肇ヘッドコーチは、若手がチャンスを生かせなかったことについて、こう話す。

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