ハタケで鍛えたハタケ。異色キャラの巨人・畠世周がプロ初勝利に挑む (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Jiji photo

 新庄とは、夏の県大会4回戦でも対戦。畠は7回から登板したが、2イニングで7点を失いコールド負け。これが高校最後の試合となった。

 その畠が一躍注目を集めたのは、大学に入ってからだった。大学での成長について、畠は次のように語っていた。

「練習のレベルが高く、トレーニングも充実していて、環境も抜群。広島の田舎から出てきた僕にとっては、すべてが"目からウロコ"でした。すべてを吸収するつもりでやってきたら、ここまで伸びることができました」

 近畿大では、3年秋にリーグ戦で3試合連続完封。ここで一気に評価を高めた。4年春は好投するも、打線の援護に恵まれず勝てなかった。4年秋は右ヒジの"関節ネズミ"に悩まされ2試合に登板したのみ。最終学年で評価を上げられず、スカウトの評価も分かれた。

 そうしたなかで、これまでにも桜井俊貴、小山雄輝、村田透ら、関西の大学生投手を積極的に指名してきた巨人が2位で指名。入団が決まると、右ヒジの手術を行なった。

 手術自体は簡単なもので、4月には実戦復帰。そして7月6日、チーム事情もあり、一軍昇格、プロ初登板・初先発となった。

 畠の魅力は、投げるボールだけではない。大学時代に取材を重ねるなかで、そのユニークなキャラクターにも触れていた。大学の関係者のなかには、「ちょっと糸井(嘉男/現・阪神)を思い出すところがある」という声もあるが、畠の印象は人懐っこくて、おしゃべり好き。さらに好奇心旺盛で、発想が自由ということだ。こちらが話す内容に興味を持てば、「ちょっとメモしてもいいですか」と、スマートフォンのメモ欄に打ち込んだこともあった。

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