4割は来季に。近藤健介が「打ち出の小槌」みたいにヒットを打つ秘密 (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 また、しっかりボールを見られるから四球も選べる。近藤自身「その気になれば、狙って四球を選べる」と言っていたようだが、たいした自信だ。それだけ好調時は、ボールが見えていたということだろう。

 プロの選手としては決して大きくない体(173センチ)で、あれだけのフルスイングができるパワーも見事だ。

 これだけのバッティングを築き上げたのは立派のひと言だが、ここに至るまでの過程が気になる。彼がどんな思いでバットを振り、バッティングとどう向き合ってきたのかということだ。

 それを紐解くカギが、打球方向に表れている。印象ではいつも逆方向(センターからレフト方向)に打っている感じがあったが、実際にデータを見ても、6割強がセンターからレフト方向だった。いかにパワフルなスイングといえども、あの体で逆方向にホームランを放つのは至難の業だ。引っ張らなければホームランはない。言い換えれば、ホームランを捨てて、今のポジションを掴んだ。私はそう感じている。

《横浜高時代は通算35本塁打を記録するなど、強打の捕手として注目を集め、ドラフト4位で日本ハムに入団した。だが、捕手としては送球難に陥り、早々に野手に転向。外野はもちろんだが、今年の春季キャンプでは二塁手にも挑戦していた。いかにしてチームのなかで戦力として勝ち抜くか。レギュラー争いが激しい日本ハムのなかで、近藤は「プロとしていかに生き残るか」を示す格好の選手と言えるだろう》

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