名打撃コーチが言う。「広島と阪神のバッターには決定的な差がある」 (3ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 またバッティングというのは、打順や試合の局面で大きく変わってくる。そうした状況をどこまで頭に入れて打席に入れているのかも重要な要素になってくる。

 阪神の打者を見て感じたことは、初球から積極的に振ってくることだ。もちろん、金本監督の方針だろうし、積極的に打ちにいくこと自体、悪いことではない。ただ、阪神の選手を見ていると、球種もコースもお構いなく、ただ振り回しているだけに映った。要するに、自分が打てる球なのかどうか、十分な認識に欠けているのだ。

 たとえば、カウント2-1や2-0といった打者有利のカウントでさえ、狙い球を絞りきれていないスイングの選手がいた。結果、中途半端なスイングとなってポップフライというシーンが何度かあった。これなど、まさに"意識"に欠けた打席と言えよう。

 雨でノーゲームになった6月26日の試合では、初回に先頭の高山俊がカウント3-2から薮田和樹の投じた、見送ればボールの高めの球を空振りして三振。続く上本博紀は3-1から、やはり高めのボール球に手を出してレフトフライ。このふたりの打席を見て、いかに状況判断ができていないかがわかった。

 というのも、前日、阪神は1対13の大敗を喫していた。その翌日の試合となると、いかに先取点を取るかが重要になる。そう考えると、1、2番打者の役割はいかに出塁するか、である。それに広島先発の薮田の制球は不安定だった。「これなら無死一、二塁のチャンスがつくれるな」と思っていたのに、結果は二死走者なしである。

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