阪神OB藪恵壹が考える、藤浪晋太郎「完全復活」へのメンタル管理術 (4ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

――「イップスではないか」という人もいます。

 そうですね。でも、その点で投球よりも気になるのは、短い距離の送球です。あれだけ長い手足をうまく使っているし、器用なほうだとは思いますが、バント処理に不安があるのは事実ですね。足攻めの得意なカープはわざと藤浪に捕らせるようなバントを多用しています。投球以外の不安な要素をなくさないと、自信を持ってマウンドに上がることはできません。これも今後の課題でしょうね。

 藤浪は、これまでは自分の才能で勝つことができた。でも、ずっとそのままで生き残っていくことは難しい。「どうすればいいボールが投げられるか」を、とことん考えてほしい。60センチほどのプレートをどう使うのか、どうしてマウンドが高くなっているのか。そういうことを突き詰めて考える貴重な時間ですね。壁にぶつかったことを良しとして、考え方や鍛え方を見直せば、もうひとまわり大きな藤浪晋太郎が見られるんじゃないでしょうか。

 昔に戻る必要はありません。ツーシームもカットボールもありますが、160キロのフォーシームを磨いてほしい。原点に戻ることが大事です。

――タイガースは今シーズン、ここまで2位。投手陣は12球団でもトップクラスの防御率を誇っていますが、藤浪投手抜きで戦い抜くことはできますか。

 いや、藤浪の力がなければ、絶対に優勝することはできません。オールスターゲーム明けに戻ってきてくれればいい。タイガースの浮沈は彼の後半戦の頑張りにかかっています。

 いまはとにかく、体と心の変化に対応する時期。メンタルはズタズタになっているでしょうが、悩む必要はありません。なるべくシンプルに考えてほしい。大切なのは「ジャストスロー」――投げることだけに集中することです。

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