DeNA宮﨑敏郎が自ら語る、熱い野球愛と「言葉にできない打撃術」 (6ページ目)

  • 石塚隆●文 text by Ishizuka Takashi
  • photo by Kyodo News

 6月15日のロッテ戦で、宮﨑は逆転の満塁ホームランを放っているが、ストレートとフォークで追い込まれながら、最後はゆるく縦に割れる難しいカーブを仕留めている。

「あのときも勝手に体が止まってからスイングした感じなんです。意識よりも体が合わせようと思って止まるんじゃないですかね」

 試合後のぶら下がり取材で、宮﨑はバッティングに関し記者から尋ねられると「たまたまです」と答えることが多いが、本人からすれば、そう言わざるを得ないのだという。

「本当は伝えたいんですけど、あまりにも感覚的な部分なので、どう伝えていいかわからないんですよ」

 データ上、宮﨑は対戦ピッチャーの左右はもちろんのこと、2ストライクに追い込まれようがコンスタントにヒットを放っており、苦手というものが見つからない。現在セ・リーグで、最も崩しづらい打者だと言えるだろう。

「チームの力になっているかわからないけど、少しは貢献できているのかなって。今シーズンはケガをしないように、自分のルーティンや間合い、リズムをキープして規定打席に達してシーズンを終えることが目標ですね」

 ただ、正直なところ、今はチームよりも自分のことで精一杯なのではないだろうか。得てしてようやく結果が出始めた選手は、チームのことよりも、まずは自分のことに集中しがちになるものだ。

「いや、そんなことないですよ」

 宮﨑はさらりとした風情でそう言った。

「僕はどちらかというとチームの方に気持ちが向くんですよね。自分の成績よりも、結果的にチームが勝てばいいんだって思っちゃうんです」

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