「モレルは打てる」。田口壮二軍監督がそう信じた米教育リーグの教訓 (3ページ目)

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

「彼を見ていて、打てるなと思いました。真面目で、日本の野球をなめるようなタイプじゃない。バッティングに関しては、いわゆる"間"があるんですよ。日本の野球にアジャストするためには、その"間"がすごく大事なんです」

 田口は自身の経験を思い出し、アジャストするまでの期間が1年以上あれば、モレルは必ず通用して、オリックスのために貢献するのではないかと思った。

「基本的にバッティングのメカニズムというのができていれば、ある程度は打てるはずなんです。ただ、アメリカと日本とでは、ストレートの平均で10キロぐらい球速差があります。特にアメリカで長くプレーしてきた選手は、速い球に対してどう対応するかを考えるので、どうしても手を早く出してしまう傾向がある。一方、日本の場合は、スピードよりも緩急での勝負が多く、両サイドに投げ分けてくるし、上下の変化も使って攻めてくる。これに対応するには"間"が必要になるんです。

 日本の投手は、ストライクからボールになる球をどうやって振らそうかと考えています。配球面において、そうした特徴を理解していると成績は残せるはずです。それにモレルの場合は、体の強さがあり、パワーもあります。しっかり捉えることができれば、打球は飛ぶわけですよ。成績は残るはずなんです」

 3月2日の練習中に右手人さし指を骨折したため、モレルは開幕を二軍で迎えた。4月23日に今季初出場を果たすも、調子が上がらず5月2日の試合後に二軍降格。しかし、5月16日に低迷するオリックスの起爆剤として再昇格すると、25試合で65打数22安打、打率.338と結果を残している(6月22日現在)。まだまだシーズンは長いが、この先、モレルが確実にアジャストすることができれば、いま以上の貢献が期待できるはずだ。

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