与田剛コーチが語る、則本昂大と野茂英雄。その奪三振のメカニズム (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 さらに与田コーチは、「ふたりとも強いハートがある」と言った。

「ストライクゾーンは、かなり細かく分割すれば12分割までいきます。そこから9分割、6分割......と広くなっていくのですが、ふたりは4分割ぐらいで、ときには2分割で大胆に投げられる勇気がある。相手が真っすぐを待っていようが、お構いなくストライクゾーンに投げ込んでくる。もちろん、強いボールを持っているからこそできることだと思いますが、気持ちの強さという部分での共通点はありますね」

 則本は6月15日のヤクルト戦で連続2ケタ奪三振の記録が「8」で途切れ、世界記録達成はならなかった。ファンは再び則本の"奪三振ショー"を期待するだろうが、与田コーチは慎重にこう語った。

「則本がいちばん望むことは何なのか。そこを毎試合、きっちりと確認しながら手助けをしていきたい。最優先はコンディションですが、ここまではトレーナーの方たちのおかげで順調にきています。もちろん、チームの優勝に向かって投げていますが、こういう"記録"というのは、もう一方の欲が出るところです。本人も気持ちのコントロールが難しいと思うので、そこをしっかりサポートしてきたいです。シーズンが終わって、彼がいちばん喜べる数字の手助けができればと。それが僕のいちばんの仕事だと思っています」

 プロ野球は交流戦が終了し、勝負どころの夏を迎える。稀代の"奪三振マシーン"となった則本は、どんなピッチングを見せてくれるのだろうか。

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