菊池雄星を磨くもの。ウルフとの英会話、今も続ける「野球ノート」 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

「英語は毎日勉強しています。1年くらい前から英会話の教室に行っています」

 チーム内ではブライアン・ウルフと会話することが多いという。ボールを自在に動かしてゴロを打たせる、典型的な「グラウンドボールピッチャー」であるウルフは、快速球を持つ菊池とは投球スタイルが対照的だ。そんなウルフから学ぶことも多いという。

「ウルフとは通訳を介さずに2人で食事に行くこともあります。彼は頭がいいので、力の抜きどころとか参考になります。私生活からスマートで、考え方がシンプル。そういった部分がピッチングにつながっていることを勉強しています」

 貪欲に学ぶ姿勢は高校時代から何も変わっていない。日々に起こった出来事をつづる「野球ノート」は、高校時代から足掛け10年以上も書き続けているという。

 菊池に改めて聞いてみた。自身が描く理想像に対して、今の自分は何パーセントの域まで到達しているのかと。すると菊池はしばらく考え込み、「うーん、70パーセントくらいまできてるかな」とつぶやいた。

「とんとん拍子にここまでこられればよかったんですけど、ケガとかバッシングとか、いろんなことを早い段階で経験できたことは逆によかったと思っています。今の年齢でケガをするより、1年目でケガをしたことで早くから体に興味を持って勉強ができた。これからの自分に生きてくると思いますし、どこまで上に行けるのか自分自身に期待があります」

 菊池雄星という投手は、高校時代から「不器用」を自認していた。ドラフトの目玉と呼ばれた逸材にしては「亀の歩み」だったかもしれない。だが、コツコツと積み上げた技術と思考は、ちょっとやそっとの逆風ではびくともしないはずだ。

(おわり)

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