菊池雄星を磨くもの。ウルフとの英会話、
今も続ける「野球ノート」

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 菊池にソフトバンク戦について問うと、表情を変えずにこう答えた。

「ソフトバンクに勝たないと上位に行けませんから。でも、それほど意識があるわけではありません」

 前回登板は勝負どころで勝ち越しタイムリーを浴びたとはいえ、8回2失点。内容はこれまでよりも格段によくなっている。昨年からスライダーの変化量を抑え、スピードを上げて打者の手元で小さく曲がるようにモデルチェンジしたことも効力を発揮している。あとは結果を残すだけだ。

「今年は手応えがあります。粘り強く投げられているので、あとはもっとリズムよく投げれば、野手のリズムもよくなるはず。(勝てていないことを)言われるのはしょうがないので、早めに勝っておきたいですね」

 とはいえ、負けが込んでいること自体、面白いはずがない。ソフトバンク戦に限らず、菊池に「気持ちを切り替える方法」について聞くと、苦笑交じりにこんな答えが返ってきた。

「勝たないと切り替えられないですね。どんなにいいピッチングをして、粘れた実感があっても、負けたら引きずります」

 そして菊池は「でも......」と言って、こう続けた。

「負けて引きずって、悪いところを探しそうになるんですけど、そこで変えてしまうことが悪いのだと思います。普段からいかにして自分を俯瞰して見られるか。生活するなかで考えすぎないことも大事だと考えています」

 ところで、菊池といえば高校卒業と同時にメジャーリーグに挑戦する希望を持っていたことが知られている。今は西武のエースを目指して邁進しているとはいえ、今も菊池にメジャー志向があることは間違いない。西武のある選手は「雄星は英語をよく勉強していますよ」と話していた。

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