菊池雄星が語った絶対的エースへの道。8年目の快投を自ら分析する (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 2009年のドラフト会議で6球団が重複1位指名した大物は、こうしてプロ4年目に自分なりの極意をつかみ、いよいよ本格的に開花したように見えた。しかし、菊池の足踏みは緩やかに続いた。2013年は左肩を痛めて後半戦0勝に終わると、2014年以降は5勝11敗、9勝10敗と負け越し。昨季は12勝7敗、防御率2.58と初めて2ケタ勝利を達成したものの、投球回数は規定投球回ギリギリの143回にとどまった。

 その間、高校時代の後輩である大谷翔平(日本ハム)は国民的スターの座にどっしりと君臨していた。菊池に対する大物感はかすれ、今や一般的な認識は「大谷の先輩」になりつつあった。

 そんな菊池が、今季は凄味を増している。6月12日現在、11試合に登板して6勝2敗、防御率1.46。その数字以上の絶対感がある。菊池に何があったのか、4年ぶりにじっくりと話を聞いてみたかった。

「WBCは極力見るようにしていました」

 今春開幕前に開催された第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。菊池は高校時代から、同大会に出場して戦うことを、自身が描く人生設計の大きなトピックとしていた。しかし、菊池が代表に選出されることはなかった。2013年の前回大会にはセンバツ決勝戦で投げ合った今村猛(広島)がメンバー入りし、今大会は同期の筒香嘉智(DeNA)が不動の4番打者となり、岡田俊哉(中日)も選出された。

 悔しくないわけがない。それでも、菊池は今、自分が置かれた状況を客観的に見つめていた。

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