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BC新潟のトルス投手が熱投アピール

  • 阿佐智●文・写真 text&photo by Asa Satoshi

 今春のWBCでオーストラリアは1次ラウンドで姿を消したが、選手たちの落胆ぶりはテレビに映った表情からも明らかだった。チームの敗退もさることながら、彼らが何よりも悲しかったのは、自分をアピールする場を失ったことなのだ。

 トルス自身は、WBC本戦では出番がなかったものの、阪神、オリックスとの強化試合ではリリーフとして登板。計2イニングを無失点に抑え、3奪三振と好投した。まだ肌寒い気候のせいか、ストレートは130キロ中盤がほとんどだったが、NPB相手にも十分通用するところを見せつけた。

 とはいえ、編成はとうに終わり、シーズンを直前に控えるNPB球団との契約が簡単に舞い込んでくるとは考えづらい。そこでトルスの才能を買っていたオーストラリアリーグのスタッフが、新潟アルビレックスBCと接触した。この球団には過去にも多くのオーストラリア選手が在籍している。今回のWBCでオーストラリアの4番を務めたミッチ・デニングは、2015年のシーズン途中に大砲不在に悩むヤクルトに入団したことがあった。

 WBCの1次ラウンド終了後、トルスは契約書にサインし、一旦帰国後、3月下旬に再来日した。

 トルスが野球を始めたのは、少年時代だった。クリケットにサッカー、ラグビーといったスポーツが盛んなオーストラリアにおいて、なぜ野球を選んだのかを問うと、「だって、あまり走らなくていいじゃないか」と、冗談とも本気ともつかない答えが返ってきた。親に教えてもらったTボール(投手の投げた球を打つのではなく、ゴムの台に置かれたボールを打つ競技)をきっかけに始めた野球は、彼の性分に合っていたようだ。

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