阪神・秋山拓巳、
8年目の「脱スピード」で蘇った
高校時代の凄いキレ

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro


 食欲旺盛なあまり、ウエイトオーバーに苦しんでいた高校時代、秋山は夕食前に大きなボウルいっぱいのキャベツを食べ、カロリーの過剰摂取を懸命に抑えていた。当時、秋山がこんなことを言っていた。

「毎日キャベツだと飽きるじゃないですか。それをお母さんが毎日、ドレッシングを工夫してくれて、そのおかげで体重が維持できている。プロに入って、その恩返しをしたいんです」

 一点の曇りもないような笑顔で話す秋山を見て、本当は「プロに向いていないんじゃないか」と心配したこともあった。実際、精神的にきつかった時期があったと聞く。

 8年目の今季、遠回りをして、ようやく高校時代の"よかったもの"だけを取り戻したように思う。「大器晩成」とは、彼のような青年のことを言うのだろう。

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