黒田引退、ジョンソン離脱でも投壊させないカープの「大卒」ローテ陣

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

 昨年、25年ぶりにセ・リーグを制した広島は、今季もシーズン序盤から首位を走るなど、連覇に向けて順調な滑り出しを見せている。

 ただ今季の広島は、昨季限りで引退した黒田博樹だけでなく、開幕投手のクリス・ジョンソンが初登板直後に咽頭炎で登録抹消。さらに、開幕3カード終了後に抑えの中崎翔太までもが負傷離脱するという事態に陥った。先発とリリーフの大きな柱を失うという危機的状況のなか、チームの快進撃を支えたのが若手投手陣だ。

4月15日の阪神戦でプロ初完投勝利を飾った2年目の岡田明丈4月15日の阪神戦でプロ初完投勝利を飾った2年目の岡田明丈 まずジョンソンの離脱によってプロ初先発したドラフト1位の加藤拓也が、あと2人でノーヒット・ノーランという好投でチームを勢いづかせた。

 また、昨季、最多勝と最高勝率の投手二冠に輝いた野村祐輔は3試合に登板して1勝とまだ勝ち星を伸ばせていないが、2年目の岡田明丈と4年目の九里亜蓮の若手右腕2人の成長が目立つ。彼らは勝ち星とともに、首脳陣の信頼を確実に積み重ねている。

 特に、岡田に対する評価は開幕前から日に日に高まっていた。1年目から高い評価を受けていた速球のスピード、質に加え、ほかの球種の精度や制球力も上がった。なにより技術の向上以上に大きな変化は、本人の自覚かもしれない。

 ルーキーイヤーの昨年は、シーズン序盤から試合をつくれない登板が目立ち、二軍降格を味わい、一時は中継ぎも経験した。だが、シーズン中盤から再び先発ローテーションに戻ると、主戦に劣らぬ安定した投球を続け、クライマックス・シリーズ、日本シリーズのマウンドも経験。初めてプロの選手として過ごしたシーズンで、修正能力の高さを示した。

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