「ムネリ~ン」の声が飛ぶ雁ノ巣で、
川﨑宗則が明かす一軍昇格への思い

  • 阿佐智●文・写真 text&photo by Asa Satoshi

 4月23日、福岡・雁ノ巣(がんのす)球場。かつてのホークス二軍のホームグラウンドは、久しぶりの賑わいを見せていた。昨年、新球場であるタマスタ筑後に居を移したホークスのファームだが、その原点を忘れないために年に一度、この地に戻ってくる。

6年ぶりにホークスに復帰した川﨑宗則6年ぶりにホークスに復帰した川﨑宗則 このホームカミングデーに、一軍の試合そっちのけで集まったファンは実に2166人。試合開始直前に追加販売したチケットもほどなくソールドアウトとなった。ファンのお目当てが、6年ぶりにホークスに復帰した川﨑宗則であることは、各々の選手が守備位置に散らばるときにわかった。

 レフトのポジションに走る川﨑に、無数の「ムネリ〜ン」の掛け声が飛ぶ。シアトルで、トロントで、そしてシカゴで、誰よりもファンに愛された男は、古巣・ホークスでも絶大な人気を誇っていた。

 ホークスの主力選手としての地位を捨て、海を渡ったのが5年前。毎年、マイナー契約からシーズンをスタートし、バックアップ要員としてようやくメジャーに昇格するという"エレベーター生活"を続けることに疑問を投げかける声もあったが、川﨑がそれに耳を貸すことはなかった。大好きな野球を、自分がいちばん楽しめる場所ですることに何の疑問も抱かなかったのだろう。

 今シーズンも招待選手としての参加となったメジャーキャンプだったが、オープン戦で打率.282の成績を残しながら、開幕直前に解雇を言い渡された。再契約の道もあるなかで、ホークス復帰を選んだのは、自分を必要としてくれて、なによりそこでプレーすることをいちばん楽しめると思ったからに違いない。

1 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る