打てているのに「これじゃない」。T-岡田とのバッティング禅問答 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro


 岡田が言うように、開幕直後は追い込まれてからの勝負が多かった印象がある。長打にできるボールを仕留めることができず、結果、追い込まれてからの勝負にならざるを得なかった場面を何度か見た。

 ただ、不本意とはいえ、そうした状況のなかで結果を出せたことは、大きな自信につながるのではないだろうか。これまで岡田は、一発の魅力はあったが、確実性に欠ける部分があり、結果が出ないことでバッティングそのものを狂わせることがあった。だが今年は、本人の感覚として本調子ではないが、結果はしっかりと残している。

 約10日間に及ぶ遠征で6試合を戦ったが、21打数8安打(打率.381)、3本塁打と好調を続けていた。そして昨夜の西武戦。ホームランダービートップに並ぶ7号を含む4打数3安打、3打点、打率も.369にまで引き上げた(打撃成績3位)。

 さてそこで、ここまで数字を上さて、ここで岡田はどんな言葉を口にするのか。「10段階で7か8ぐらいですね」とでも返ってくれば、岡田にとっての"好調宣言"と受け取っていいだろう。

 プロ12年目、節目の30歳を迎える年に選手会長に就任。昨年オフには球団と3年契約を結んだ。これまで以上に結果が求められる環境が揃ったことは言うまでもない。
 
 2010年に本塁打王のタイトルを獲得して以降、鳴りを潜めていた岡田。ただ、今年は違う......そんな予感を抱かせる開幕スタートになったことだけは間違いないようだ。

プロ野球記事一覧>>

4 / 4

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る