投げた瞬間「あっ、右腕がとれた!」。森慎二が振り返る、悪夢の脱臼 (4ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Thomas Anderson/アフロ

──そのような状況で「リラックスしろ」と言われて、できるものですか

「ものすごく痛いので、力が入りっぱなし。筋肉も緊張していました。ですから、『力を抜け!』と言われても『無理』と答えました。『でも、力を抜かないと肩が入らないよ』と言われたので、肩以外の部分をすこしずつ緩めていって......力が抜けたら、そのうち、重りと腕の重さで自然に元に戻りました」

──痛みは和らぎましたか。

「はまった瞬間に、半分くらいになりました。それでもまだ気持ち悪かったり、痛かったりしたのですが、『もしかしたら治るかも』という考えが頭をよぎりました。診察を受けたら『手術するしかない』と言われたので、仕方がないと思いました」

(後編につづく)

森慎二(もり しんじ)

1974年、山口県生まれ。岩国工高から新日鐵君津を経て、1996年ドラフト2位で西武ライオンズに入団。プロ1年目の1997年は6勝2敗9セーブ、1998年は8勝8敗5セーブという成績を残し、2年連続でリーグ連覇に貢献した。2000年は抑えとして23セーブをマーク。2002年、2003年には最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得。2005年オフ、ポスティングシステムを使ってタンパベイ・デビルレイズに移籍したが、右肩脱臼のためメジャーリーグ登板は果たせなかった。その後、復帰を目指してリハビリを続けたが、断念。2009年にはBCリーグの石川ミリオンスターズのコーチ兼選手、2010年から2013年まで監督をつとめた。2015年からライオンズのコーチに。

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