ダルビッシュが絶賛した男・オリックス山岡泰輔がプロ初登板を自己分析 (4ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 西田泰輔●写真 photo by Nishida Taisuke

 松井のピッチングを間近で見た山岡は、「ストレートの力、スピード......自分とはレベルが違う」と感じた。そこで3年後を見据え、社会人ではウエイトトレーニングを積極的に取り入れ、2.5キロあるゴム製のボールを掴んで離す練習も繰り返すなど、指先まで鍛え込んだ。

 その結果、ストレートの球速が150キロを超えただけでなく、球の強さも一段と増してのプロ入り。その鍛え上げたストレートが一軍の公式戦でどこまで通用するのかを見たかった。

 この日投じた105球のうち、ストレートは49球。そのうち145キロ以上が14球あった(最速は147キロ)。試合後、山岡はこう振り返った。

「ファウルも取れていましたし、いいボールも何球かありました。ただ、やっぱりコントロールミスがいちばん怖いと思いました」

 ストレートでのファウルは12球。当然、狙いにいったものと、決めきれずにファウルにされたものがあっただろうが、山岡の表情と口ぶりからは手応えを掴んだようだった。

 ちなみに、変化球での空振りは4球だったのに対し、ストレートでは2球。しかし、この2球が面白かった。ともに三振を奪った球だったのだが、相手打者は2回の平沢大河と6回の鈴木大地。どちらも胸の高さ近辺の明らかなボール球を振ってのものだった。再び山岡に聞くと、その理由について明確な答えが返ってきた。

「僕のスライダーは一瞬、ストレートに見えるって言われるんです。(ふたりの空振り三振の場面は)どっちも追い込んでいたので、相手はスライダーが頭にあったと思うんです。それで低めのスライダーは捨てて、高めが来たら狙いにいくというところに、高めの球が来た。でも、それはスライダーじゃなく、ストレートだったからああいう空振りになったんじゃないかと思います」

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