斎藤佑樹は「西本聖」になれ。一撃必殺、打ち取るピッチングに活路 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 斎藤が試みたのは"シュート、カット"の"ONE SHOT ONE KILL"、つまり一撃必殺のピッチングだ。要は、いかにしてゴロを打たせるかということである。斎藤がキャンプのときに言っていたことを、あらためて書き記しておく。

「プレートの真ん中を踏んで、右に動かすのがシュート(ツーシーム)、左に動かすのがカットボール。そして、下に落とすのがフォーク。そうやって、スッ、スッ、スッと変化するボールの中で、ドンと高めにフケるような、間を作る真っすぐを投げられれば、ゴロを打たせることができるはずです。アウトローにこだわるんじゃなくて、動くボールを低めに集めながら、高めにブオンという真っすぐを見せようかなと......要は、真ん中から上下左右に動くボールでゴロを打たせたい。そういうイメージを作れたおかげで、目指すところがハッキリ見えてきたのかなと思います」

 そして斎藤は今年、そういうピッチングを続けている。

 たとえば、4月6日の千葉は強風が吹き荒れていた。斎藤はその風を活かして、ストライクゾーンの四隅を狙うのではなく真ん中へ、動くボールを投げ込んだ。

「あれだけ風が強いと全部の球が曲がりすぎてしまうので、厳しいところを狙うのではなく、大胆に投げられました。そうしたら(ボールが)勝手に動いてくれたので、それは助かりましたね」

 状況を見極め、対処する能力はもともと備わっている。風を見て大胆に真ん中へ、それでいて繊細に、試合中、プレートを踏む位置を変えたりもしていた。右バッターのときはインコースへのシュートをより活かすべくプレートの三塁側を踏み、左バッターのときにはインコースへのカットボールとアウトコースへ逃げていくツーシームをともに活かそうと、プレートの真ん中を踏んで投げていたのである。栗山監督も試合後、そんな斎藤のピッチングを評して、こう話していた。

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