「プロ野球のボブルヘッドは似てない」
と文句言ってたら呼び出された

  • 長谷川晶一●文 text by Hasegawa Shoichi
  • Sportiva●写真

 現状のボブルヘッドは7インチ(約18cm)と5.5インチ(約13cm)の2種類がある。僕は重量感もあって、迫力もある7インチ派なのだが、これからは3インチ(約8cm)など、従来よりも小型のものがあってもいいのかもしれない。余談だが、今の技術なら、等身大ボブルヘッドも制作可能なのだそうだ。193cmで躍動する大谷翔平のボブルがぜひ見てみたい。札幌ドームの入場ゲートに飾るだけでも、いいアイコンになるのではないだろうか?

ボブル工場には伝説の「凄腕中国人原型師」が!

 それにしても、伊達氏の話は実に興味深かった。「ボブルヘッドの素材は、主にポリストーンとポリレジンがあり、あの重量感を出すためにはポリエステルに石を混ぜたポリストーンがいい」そうだ。さらに、ポリストーンは、「人間の肌色に近い色を出しやすい」のだという。なるほど、塗料の発色のことなど今まで意識したこともなかった。やはり、専門家の言葉は深い。

 続いて、議題は「ボブルヘッドの顔について語ろう」へと移っていく。まさに、「ボブルヘッド似てない問題」の根幹にかかわるテーマだ。伊達氏は言う、「去年から3Dスキャンを導入することで、格段に似るようになった」と。確かに、昨年のヤクルトで導入された山田哲人、川端慎吾、畠山和洋の3Dボブルは近年では出色の出来だった。これらのボブルの制作も伊達氏が手掛けたのだという。

 3Dスキャンで一度、型を作り、その型に粘土を詰めて原型を制作。さらに、伊達氏の指示で、「その選手の特徴を強調するアレンジを加える」のだそうだ。驚いたのは、実際にボブルが制作される中国の工場には、「伝説のボブル職人」がいるということ。その凄腕中国人原型師は、一度も見たことのない日本人選手の特徴を、写真だけで判断し、きちんと原型に落とし込むことができるのだそうだ。もしも、彼に不測の事態があって、ボブル作りができなくなった場合、日本のボブ界は大打撃を受けることだろう。たのむ職人、いつまでもお体に気をつけてください!

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