「面倒くさい投手」濱口遥大が、消えるチェンジアップでハマの新星に

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 とにかく、わかりにくい投手。面倒くさい投手と言ってもいいかもしれない。昨年の今頃、神奈川大のエースとして奮闘していた濱口遥大は、そうした印象の左腕だった。

 制球が定まらず、あっという間に無死満塁のピンチを背負ってしまったかと思えば、そこからぐうの音も出ないほどの圧倒的なピッチングで三者三振。叱ったらいいのか、それとも褒めるべきか......大学時代の濱口は、間違いなく指導者泣かせの難しいピッチャーだった。

4月9日の中日戦でプロ初勝利を挙げたDeNAの濱口遥大4月9日の中日戦でプロ初勝利を挙げたDeNAの濱口遥大 そんな濱口が、プロ1年目にしてDeNAのローテーションに入り、登板2試合目でプロ初勝利を挙げたものだから、正直、驚いた。

 だが、その予兆はすでにあった。プロ初先発初登板となった4月2日のヤクルト戦。5イニングを投げ4失点と、数字だけを見れば褒められたものではないが、決して内容は悪くなかった。味方守備陣のエラーに始まり、とどめは山田哲人の一発。自滅したわけでもなく、連打を食らったわけでもなく、ある意味、しょうがない点の取られ方だった。

 少なからず、次回の登板に対する期待はあった。だが、まさかそこまで立派なピッチングをするとは思ってもみなかった。

 4月9日の中日戦。濱口は6回1/3を投げて、7本のヒットは許したが、与えた得点は1点のみ。4回には一死満塁のピンチを背負うも、京田陽太、木下拓哉を連続三振に打ち取ってみせた。

 この場面、バッテリーを組んでいた高城俊人のミットの位置に、濱口の好投を演出した要因が隠されていたように思えて仕方がない。二塁打と2つの四球で一死満塁となったわけだが、ここから高城はミットを真ん中付近に構えだしたのだ。

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