「最もキャプテンに不向きな男」浅村栄斗を指名した西武の狙いとは (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 小池義弘●写真 photo by Koike Yoshihiro

 母の明美さんも続ける。

「私たちにとっては孫みたいな感覚で、甘くなっていましたね。保育園の頃から年の離れたお兄ちゃんについて行くけど、面倒がられていつも泣いていました......」

 大阪桐蔭時代を知る西谷監督に浅村キャプテンの感想を求めたときも、「そこはノーコメントでお願いします」と笑顔でかわされた。

 もちろん、当時と今とでは、積み重ねてきた経験もあるだろうし、一概には比較できない。それでも西谷監督の表情を見る限り、いわゆるキャプテンタイプではないことだけは確かなようだ。

 そんな浅村をキャプテンに指名した西武の辻発彦監督は、その理由について「チームに新しい風が必要」「栗山(巧)の次の世代だと浅村しかいない」と語っていた。

 プロの世界でキャプテンがどれほどの力を発揮し、チームにどこまで影響を与えるのかはわからない。昨年の広島のようにキャプテンを置かずに快進撃を見せた例もある。ただ、キャプテンの力量が戦いにそれ相応の影響を与えるとしたならば......3年連続Bクラスからの巻き返しを図る西武にとって"キャプテン浅村"は、ある種の賭けといっていいだろう。

 では、本人はどう考えているのか――キャンプ中に話を聞くと、「特にキャプテンになったからって何も変わらないです。やることは一緒なんで......」と、多くは語らなかったが、鮮やかな金髪が「変わらない自分」の主張に思えてきた。

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