大砲不在のロッテが掲げる「コツコツ得点野球」は通用するのか (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

「チームでいちばん長打力があったデスパイネが抜け、次に『誰だ?』となれば、『僕がやります』って真っ先に手を挙げたいくらいですし、そういう意気込みでいます。ここ(ZOZOマリン)は球場が広く、風の影響も受けやすいこともあり、完璧にとらえないと入らないのですが......でも昨年は、チームで2ケタ本塁打を打った日本人選手はいないので、まずはそこを打開する突破口のひとりになりたいですね」

 振り返れば3年前のこの時期、当時ルーキーだった井上は"アジャ"という愛称のもと、オープン戦で打率.435と打ちまくり首位打者を獲得。一躍、時の人となり開幕戦を4番で迎えたが、豪快な打撃は鳴りを潜め、5月1日に二軍降格となってしまった。

「公式戦では自分から勝手に崩れてしまい、シーズン2本はやっぱり......僕自身、もうちょっとできたと思っていました」

── 昨年、二軍での打席を見ましたが、正直、この選手が「なぜ一軍で打てないのだろう」と思っていました。

「これまでは技術面だけでやってきて、自分にしっかりとした芯がなかったんだと思います。だから、落ちるか落ちないのかの瀬戸際だと、リスクの方を考えてしまう。メンタルで崩れましたよね。でも、昨年CSを経験させてもらったのは大きかったですね。本当に、あんなに素晴らしい舞台だったのに、なんで緊張してしまったのか。それも、いいところを見せようと力んでしまったのではなく、気持ちが引き気味になってしまった。度胸がなかったというか......。力を発揮しないと使ってもらえませんが、必要以上に考えすぎてもいけない。要は、自分が楽しくやりたいようにやる。学んだのはそこですね」

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