須田、タナケン、三上、康晃...
DeNAブルペン魂を木塚コーチが語る

  • 村瀬秀信●取材・文 text by Murase Hidenobu
  • 小池義弘●撮影 photo by Koike Yoshihiro

── 4人が上のステージに行ったことで、ブルペンの様子に変化はあるのでしょうか?

木塚 本当にいいブルペンになったと感じています。去年、僕は一軍のブルペンは3年ぶりに戻ってきたんですが、ファームにいた頃のメンバーも含め、ずっとテレビなどで彼らの姿は見てきたし、折々で声も掛けてきました。スカウトで地方に出張しているときも、気がつけばテレビの前で手に汗握って頑張れって、のめり込んでいたこともありますしね(笑)。

 悔しい思い、嬉しい思い、いろいろと経験したんでしょう。本当に、いい目をして投げてくれる子が増えてきました。以前はバッターと対峙しても目が泳いでしまうようなことがありましたが、今はどんなピンチの場面でも、バッターと勝負して帰ってきてくれる。嬉しいですよね。それは僕がいくら教えたってできることじゃない。彼らが、彼らの責任において、『勝負をしなければダメだ』ということに気づいたんです。

── 木塚さん自身も現役時代、どこが痛かろうが、「俺が行って抑える」という気持ちで連投したピッチャーでした。しかし、木塚さんも69試合、76試合と連投した翌年には、故障に苦しんできました。今、投手コーチという立場で、投手のサガである"行きたがる気持ち"を抑えるのもまた難しいところではないですか?

木塚 そうですね。彼らの気持ちは痛いほどわかりますよ。リリーフ投手にとって、自分が指名される電話が鳴るっていうことほど幸せなことはないんです。昨年の終盤なんて、ブルペンの全員が「ピンチがあれば俺が行く」という強い気持ちがありました。どんなに疲れていても、僕からは「最後まで出し切れ」としか言えません。ただ、僕自身も故障して、どんどんボールが投げられなくなって......という経験をしてきましたからね。そういう気持ちを持つ彼らにはなおさら、1年でも長くベストな状態でプロのユニフォームを着てほしいんです。そのために彼らの身体の状態も見てきましたし、やらなければならないことは、シーズン中から常に口うるさく言ってきたつもりです。

 オフの過ごし方も、登板が多くなった年は誰でも臆病になるんですよ。ちょっと休みたいってね。疲れ切っているわけですから、それは正直な気持ちだと思う。でもそこで完全に寝てしまった時の代償は大きいんです。そこでもう1回身体に溜まった膿を出し切り、シーズンをリセットしてオフに入る。そういうところでも彼らは頑張ってくれた。意識としてもワンランク上に行こうとしてくれたし、実際に行ってくれたと思っています。

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