須田、タナケン、三上、康晃...
DeNAブルペン魂を木塚コーチが語る

  • 村瀬秀信●取材・文 text by Murase Hidenobu
  • 小池義弘●撮影 photo by Koike Yoshihiro

── キャンプでは福地元春など左投手を熱心に指導する姿が目立ちましたが。

木塚 福地にしても、あれだけ力強く放れる力がある。昨季の悔しさもあって、オフに体を作ってきてくれた。ただ、もうひとつ殻を破ることができれば......なんですよ。それは他の選手にも言えることで、以前は7~8人兄弟ぐらいの状態だったブルペンで、4人がワンランク上の舞台へ行ってしまった。そこに入れなかった人間にとっては、どこか遠く感じてしまっているのかもしれない。

 でもそうじゃない。田中、須田も同じようなところからスタートして今の位置を勝ち取ってきた。毎日毎日、休みの日も出てきて「絶対に次の1イニングを抑えるんだ」と常に自分にハッパをかけ続けて、1シーズンそれをやり切った。勝負に行って結果が悪い時だって絶対にある。でも引きずらずに次の打者に立ち向かえるか。他の選手も追いつき、追い越せる力は持っているんです。

── 田中も須田も、かつてはなかなか力を出し切れずにいました。彼らがあれだけの結果を残せたことをどのように分析していますか。

木塚 経験もあるだろうし、家族の存在もあるでしょう。きっかけのひとつは危機感だったのかもしれないですね。去年あれだけ結果を残した須田も、当初は「今年ダメだったら......」とボソっと言っていたことを覚えています。それを1シーズン本当に強い覚悟を持って戦い抜いてくれた。

 最後に肉離れで戦列を離れてしまいましたが、そこでも気持ちを切らずに、CSファイナル、絶体絶命のピンチで登板してね。鳥肌が立ちましたよ。あの時の須田は"自分はチームに必要とされている"という、その思いだけでカムバックしてきたんです。その思いにラミレス監督と篠原さん(貴行・一軍投手コーチ)が須田で行くと決断をしてくれた。大事な試合で必要とされ、使ってもらえることで、また大きな成長があったと思います。

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