「史上最弱」から
「プロフェッショナル集団」へ。
侍ジャパン激動の1カ月

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Getty Images

 試合後の青木宣親の言葉が、今回のWBC日本代表を象徴しているようだった。

「このチームは本当にプロフェッショナルなチームでした。みんな所属しているチームでは間違いなく中心選手なのに、試合に出られないときも自分で仕事を探して、頑張ってくれた。チームがひとつになれることができたし、前を向くことができました」

準決勝のアメリカ戦で6回に同点本塁打を放った菊池涼介準決勝のアメリカ戦で6回に同点本塁打を放った菊池涼介 第4回WBC準決勝で日本はアメリカに敗れ、2大会ぶりの決勝進出はならなかった。それでも1次リーグ、2次リーグを全勝で勝ち上がり、決勝トーナメントに進出。準決勝で敗れはしたが、全員がメジャーリーガーのアメリカ相手に互角の戦いを演じるなど、"侍ジャパン"の底力を存分に見せつけた。

 振り返れば、1カ月前の侍ジャパンの合宿初日。天候が悪いということもあったが、サンマリンスタジアム宮崎の観客はガラガラ。メジャーリーガーは青木ただひとりで、しかも合宿は不参加。なにより、今回の侍ジャパンの顔であったはずの大谷翔平がケガにより辞退するというアクシデントに見舞われるなど、波乱の船出だった。

 ブルペンでもWBC公式球に馴染めない投手が続出するなど、「2次ラウンド突破はおろか、1次ラウンドも危ないんじゃないか」という声も聞こえてきた。さらに本戦前の強化試合も2勝3敗で負け越すに至って、ファンの不安はピークに達していた。

 それでも小久保裕紀監督は表情を変えることなく、「超一流選手の集まりですから心配していない」と繰り返し、選手たちに全幅の信頼を寄せていた。

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