全治1年からの帰還。DeNA山崎憲晴ロングインタビューby村瀬秀信 (8ページ目)

  • 村瀬秀信●取材・文 text by Murase Hidenobu
  • 小池義弘●撮影 photo by Koike Yoshihiro

「変えようとは思わなかったですね。そもそもこの言葉って、例えば試合でエラーしても、打たれたとしても、最後に勝つことができれば、みんなが救われる。『よかったね』で終われるでしょう。今、僕が思っていることは、この1年間で1試合サヨナラホームランを打つよりも守備で5試合助けたい。『憲晴がいてよかった~!』って、一番後ろから行っても、チームを助けられる。そういう場面であてにされる選手でありたい。

 守備固めってストッパーと同じだと思うんです。勝ち試合の最後に監督が一番抑える確率の高い投手を行かせるように、守備で最も信頼のおける選手を守備固めに使う。僕自身も『ココで俺が行かなきゃ意味がない。俺は守備のスペシャリストだ』と言い聞かせています。康晃と同じタイミングで出られたら最高ですよね」

 今年もショートのレギュラーは倉本がガッチリと掴んでいる。内野の控えには若い柴田竜拓、小技のできる新加入のベテラン田中浩康も存在感を示している。だが、ラミレス監督が「彼ほど複数ポジションで守備力が高く、重宝できる選手はいない」と称賛するように、憲晴にもチャンスが与えられている。

「僕はもう一度、守備から始めます。ゼロからじゃない。この2~3年苦しんだ経験を積み上げて、あの2013年の時と同じ気持ちでやることができれば、違った数字が残せるんじゃないかなって期待しているんです。すべてのことは無駄じゃない。僕の前向きな解釈ですけど(笑)」

 2年間の苦しさを経て、憲晴の新しいシーズンがはじまる。すべては笑顔のために──。

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